2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「光ってみえるもの、あれは」 川上弘美

とても気に入った。気に入ったんだけど、どこをどう気に入ったのかを上手く言い表せなくて、ちょっともどかしくもある。基本的には暖かで、ユーモアが滲む文章。でも、突然主人公が難解な言葉を使って自分の心理を語るところでぐっと引き離されたり、味わい…

「東京湾景」 吉田修一

僕がこの人に期待する「心象風景の絵」があまり描かれていなくて、かなりがっかり。第一章の、モノレールの窓からアパートを探すシーンぐらいかな、良かったのは。普通の恋愛小説としても面白さが感じられず、僕的には駄作かも。

「チルドレン」 伊坂幸太郎

相変わらず面白い本を書く。この人の本のキモは「一風変わった癖のあるキーマン」だと思うのだが、その人物の変わり具合がとてもいい。作者はいろんな風変わりなアイディアを思いつく名人なのだろうが、普通の感覚から見てそのアイディアがどれくらい奇異に…

「シャッター・アイランド」 デニス・ルヘイン

仕掛けだけの本はもういい。

「嗤う闇」 乃南アサ

出れば必ず読んでいる音道貴子シリーズの最新刊。4本の短編どれも安定して面白い。ころころと遷ろう主人公の心情に違和感なく共感できてしまうのは、やはり作者の力量なのだろう。でも、この作者の作品は音道貴子シリーズしか読んだことがないわたくし。