2006-01-01から1年間の記事一覧

「西の善き魔女」 荻原規子

気丈な少女が主人公の、王道を行くファンタジー。5冊シリーズだったが、どの巻もものすごく楽しく読めた。舞台設定、キャラの立ち方、ストーリー展開など、どれを取っても作者の力量を感じさせてくれた。このシリーズを読むきっかけとなった書評の「良質のフ…

「ナイチンゲールの沈黙」 海堂尊

大学病院を舞台にした田口講師&白鳥室長コンビの二作目。物語としてはまぁまぁ。軽妙なタッチの心情描写は相変わらずだし、事件を追いつめていく流れや、小夜の特異な能力が今後に生かされていくというストーリー展開はいいと思う。小夜の内面に深くつっこ…

「腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち」 杉浦由美子

前作(?)「オタク女子研究 腐女子思想大系」は興味深く読ませてもらったが、この本にはかなりがっかり。取り上げられている具体例は前作で読んだようなものばかりだし、特殊なのか、それとも一般的な傾向をうまく表しているのかが全然見えない具体例を根拠と…

「絶対、最強の恋のうた」 中村航

「I Love You」という恋愛短編のアンソロジーにこの人が書いた一作に、前後の肉付けを行って長編に仕立て上げた作品。短編もまぁまぁ良いと思っていたが、女性側からの視点も加わった本作の方が物語に好ましい厚さが出てきてずっといい。また、短編にはなか…

「闇の底」 薬丸岳

「バカをあやつれ!」に続き、連続でダークな本を読んでしまった。「バカを…」と比べると小説としての完成度の低さは目についたものの、扱っているテーマとしてはこちらの方が興味深かった。幼女誘拐殺人事件が起きるたび、その事件と直接関係は無いが過去に…

「バカをあやつれ!」 戸梶圭太

「下流社会を意識的に作れるか」というのが謳い文句だったかと思うが、これは格差社会という言葉に敏感な層への売り文句にすぎなかったようで、実際に読んでみると「阿鼻叫喚な光景に溢れた世界を意識的に作れるか」というものだった。凄惨な描写が多く、何…

「風の墓碑銘」 乃南アサ

音道貴子シリーズの最新作。このシリーズは鉄板で面白く、宮部みゆきの作品のように安心して読める。今回は滝沢刑事とのゴールデンコンビが復活。とにかく楽しませてくれる。二人がとうとう最後まで馴れ合わず、時に仏頂面を付き合わせながらも、相手の実力…

「削除ボーイズ0326」 方波見大志

中学生のようなものの考え方をする小学生達が、指定した時刻から3分26秒の間に起こった出来事を削除できる、というアイテムを入手したことから始まるお話。かなり単純化された世界だが、中心に位置する事件を中心に楽しい小学校生活が描かれていて、学園もの…

プレミア第11週 アーセナル vs リバプール

リバプールの不調に助けられた感もあるが、目下の順位的なライバル相手に貴重な勝利を上げた。綺麗に崩したチャンスは少なかったかもしれないけど、ここしばらく「何度も決定的に崩しているのに得点できない」という試合が続いていたので、まぁこういう試合…

「リレキショ」 中村航

「姉さん」と彼女に拾われてきた男(18歳ぐらいだっけ?)と、深夜型の浪人少女ウルシバラを巡る、ちょっと不思議だけど素敵な展開を見せる物語。とにかく主人公の男について、なぜ「姉さん」に拾われるような羽目になったのか、それまでどういう生活を送って…

プレミア第10週 ウエストハムvsアーセナル

PKを取ってもらえなかったのはちょっと残念だけど、それ以前に全体的にパフォーマンスがひどく悪かった。特にアンリの調子の悪さが目立つ。ウエストハムの選手の気力が充実していたし、悲しいけれど負けても仕方のない流れだったと思う。我慢の日々がやって…

CL ミラン vs アンデルレヒト

カカがハットトリックを決めたところで安心して観戦を中断していたのだが、やっと今日見終えた。まずは快勝できてよかった。疲労の蓄積が心配なカカが、その問題は本質的に解決していないとはいえ、随所でいいプレーを見せてくれているのが嬉しい。また、ジ…

「フェルマーの最終定理」 サイモン・シン

93年ぐらいに誰かがフェルマーの予想を証明したことは何となく知っていたが、2年くらい前に藤原正彦の『天才の栄光と挫折―数学者列伝』を読んで、それを成し遂げたのがアンドリュー・ワイルズという数学者であることを知った。藤原正彦がワイルズの業績を紹…

CL アーセナル vs CSKAモスクワ

勝ち点3が欲しかったところだが、ホームで痛いスコアレスドロー。決定的なチャンスをあれだけ作っても決められなかったのだから、引き分けでも仕方ない。相手の守備が堅いにもかかわらず、何度も完全に崩しきっていたので、調子は悪くないのだが…。今アーセ…

「名もなき毒」 宮部みゆき

さすがに宮部みゆき。「誰か」に続くシリーズ二作目だが、一作目よりもずっと面白かった。シックハウス、土壌汚染といった分かりやすい毒を伏線として使いつつ、そうした毒と絡めながら「誰もが心の中に持っている、名前の付けようのない毒」を主題としてし…

プレミア第9週 アーセナルvsエバートン

悔しい引き分け。調子の良いエバートンにガチガチに守られてしまい、しかもその集中力が最後まで切れなかった。こういう試合はどこがやっても苦しいのだから仕方ない。決して内容は悪くなかったのだ。開幕時の一番悪い時期とは違い、ミドルからのシュートの…

セリエA 第8節 キエーボ vs ミラン

試合内容は決して良くなかったけど、とりあえずリーグ戦で久しぶりの勝利を収めたことが重要。ヤンクロ、ナイスなミドルシュートでした。一頃と比べると上がりも良くなってきたように思う。昨シーズンのような所在なさげな様子が無くなってきた。やっとチー…

プレミア第8週 レディング vs アーセナル

最近見たことの無いような、美しい得点を重ねた完勝。アンリの決定力も流石だが、セスクとフレブが何度もゴールラインぎりぎりまで飛び出していったことが美しい得点を生んだ主要因だと思う。開幕以来ずっといいプレーを続けているロシツキはこの試合もいい…

セリエA 第7節 ミラン vs パレルモ

あまりに痛いホームでの敗戦。中盤までの運びは悪くないのに、最後にどう詰めればいいかを皆が見えていない感じ。責められるのはジラルディーノになるだろうが、それも今の状況では仕方ないと思う。そろそろ、先発でピッポと組ませる相手をオリベイラかボリ…

「寝ずの番」 中島らも

どこまでが実話でどこからが作り話なのかが何とも判然としないような、落語家たちの珍妙なエピソードの詰まった短編三本。験の悪い兄弟子の話などいくつか笑えるものもあり、退屈はしないのだが、多くの内容は「はぁそんなこともあったんですか」と頭からさ…

「ぎぶそん」 伊藤たかみ

音楽の時間ぐらいしか人と演奏を合わせた経験がないので、音を合わせていく過程や音が合っていくときの喜びについては今ひとつピンと来ていないかもしれない。が、それが分からなくても、ガクとリリィの独白が面白くて十分楽しむことができた。著者のセンス…

「陽気なギャングの日常と襲撃」 伊坂幸太郎

どうもこのシリーズは僕とそりが合わない。一応最後までは読むんだけど、ストーリーのテンポに乗れないし、会話がまだるっこしい。読んでいて眠くなってくる。残念。

CL アンデルレヒトvsミラン

良い頑張りを見せた試合だった。本当に、10人になってからの方が動きが良くなるというのは不思議なものだ。解説の宮内さんが再三指摘していたように、皆のやるべきことがシンプルに整理できたせいか、それとも相手が少し前がかりになったせいか、ここしばら…

CL CSKAモスクワvsアーセナル

完敗。特に何が悪かったというわけではなく、相手のコンディションとチーム戦術が勝っていたと思う。冬のモスクワは分が悪かった。気を取り直して次、だろう。

セリエA第6節 サンプドリアvsミラン

元々コンディションが下降気味なところへ、中心選手達がインターナショナルウィークで疲労を蓄積して帰ってきたのが痛い。見ていて非常にストレスの溜まる試合だった。何とか引き分けに持ち込めて良かった、というところ。モティベーション高く左SBをこなし…

プレミア第7週 アーセナルvsワトフォード

インターナショナル・ウィークを挟んで久しぶりのリーグ戦。ポロポロとミスが出てドキドキするシーンもあったけど、基本的には完勝。最後の20分ぐらいは余裕を持って観戦することができた。めでたしベンゲル、アーセナル監督10周年おめでとう。 ウォルコット…

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」 J. K. ローリング

いやー、やっぱりダンブルドアの退場はショック。スネイプの死の呪文を浴びた時点で、「あれ?こんなところで死んで良かったんだっけ?」と思い返してみると、ちゃんと個人授業でハリーへの引き継ぎを行っていて、先導役としての役割は果たし終えていたとい…

セリエA第5節 ミラン - シエナ

今節もスコアレスドロー。ドン引きした相手の集中力が最後まで切れないと…下降気味のチーム力では辛い。リボルノの時と同じく、シエナのDF陣が頑張っていたし、キーパーは当たっていた。っていうか、チーム状態の悪いときというのは、相手のキーパーが神懸か…

プレミア第6週 チャールトンvsアーセナル

ミッドウィークのポルト戦と違ってかなりハラハラさせられたのは、ディフェンスラインが不安定だったからだろう。トゥレとギャラスの連携がまだ十分に取れていないのか、ギャラスの足の怪我が負担になっているのか…おそらくその両方なんだろうけど。ま、どち…

「LOVE or LIKE」 石田衣良, 中村航, 本多孝好, 真伏修三, 中田永一, 山本幸久

この恥ずかしいタイトルの恋愛アンソロジーを借りてしまうのは、やっぱり僕が小洒落た恋愛小説が好きだからなんだろう。中田永一の「なみうちぎわ」と中村航の「ハミングライフ」がとても良かった。特に「ハミングライフ」は秀逸で、すごい短編に出会ってし…