2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「花まんま」 朱川湊人

大阪の下町を舞台にした幻想(?)短編集。どの短編でも生活環境は厳しくて、そんな環境に暮らしたことはないけれど、それでも不思議とノスタルジーをかき立てられる描写だ。きっと、普遍的な子供時代の輝きを書くのが上手なのだろう。そして、そのノスタルジッ…

「月曜日の水玉模様」 加納朋子

OLが持ち前の探偵眼を働かせて活躍する日常ミステリ連作集。軽く読めるけれどあっさりしすぎず、ほどほどに爽やかな読後感がいい感じ。凛とした主人公・陶子さんの人物造形も魅力がある。最終話で、それまでの登場人物を無理にたくさん登場させなくてもいい…

「ふしぎなお金」 赤瀬川原平

そういえば、この人は絵も描けるんだった。この人の一風変わった、けれどとても面白いアイディアを人に伝えるには、この人が自分で絵をつけるのが一番だ。これまでどうしてそういう企画の本が出なかったのだろう?と不思議に思うくらい、この本の中では絵と…

「蒲公英草子」 恩田陸

奇跡的な一作「夜のピクニック」と比べると小品の感は否めない(そもそも比べてはいけないのかもしれない)。でも悪くない。この人は、青春時代の美しい一面の描き方が非常に上手なのだと思う。「聡子様」の存在や主人公の心の在り方が、とても綺麗に描かれて…

「恐怖の存在」 マイクル・クライトン

ジュラシック・パークや近年の作品「プレイ」と同様、この作品にもアクションシーンが多い。なぜこんなにハリウッド映画的な(と僕は思っている)「やっぱり最後はアクションで」という締めになってしまうのか理解に苦しむ。これまでの作品と同様、この本を書…