2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「オタク女子研究 腐女子思想大系」 杉浦由美子

Amazonのレビューでは辛口の評価を受けているが、僕としては読む価値のある良い本だったと思う。まず何よりも、腐女子について一冊の分量を割いてちゃんと解説してくれている本を僕は他に知らない。「思想大系」というサブタイトルは吹っ掛け過ぎにしても、…

「砂漠」 伊坂幸太郎

東堂、南、西嶋、北村、鳥井という主人公グループのバランスは悪くないし、彼らと麻雀との取り合わせもいいんだけど、秋の章のせいでひどく「今ひとつ」な感じを拭えない。秋の章で、超能力者を叩きたがる学者に対抗しようとする動機は納得できるのだが、手…

「東大式絶対情報学」 伊東乾

書評で見かけて、面白そうだったので借りてみた。読み始めは上昇志向と仕事熱の高さに「元気な人だなぁ、疲れるなぁ」と苦笑いしていたが、著者の提示している方法論はどれも実践的でかつ面白く、結局最後まで引きずられるように読んでしまった。元々僕が知…

「I love you」 伊坂幸太郎、石田衣良など

六人の作家による恋愛小説の短編競作集。競作集としてはなかなかいいと思うし、「これまで知らなかったけど好きになれそうな作家」を何人か見つけることができたので、個人的にポイントが高い。 ●伊坂幸太郎 … いつもながらGood Job! 短編を書かせても相変わ…

「沖で待つ」 絲山秋子

芥川賞受賞作で、「信頼と友情を確かな筆致で描く」と評される作品。まぁ確かにその通りなんだけど、世の中で評価されているほどには僕の心に響くことはなかった。味わいの違う「勤労感謝の日」「沖で待つ」のどちらの短編もそれなりに心地よく読み進めるこ…

「四角形の歴史」 赤瀬川原平

赤瀬川原平の「大人の絵本」シリーズの二冊目。今回は「犬に風景は見えているのか?」という問いに端を発し、四角形の成り立ちにまでさかのぼって考察を進める内容になっている。この人らしい発想が面白い。また文だけでなく絵も自分で描いているため、文と…