2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「ふたりジャネット」 テリー・ビッスン

SFの面白いアイディアと、しっとりとした情感の双方がうまくミックスされた、読んでいて楽しいSF短編集だった。ただ、「万能中国人ウー」シリーズは第1作「穴のなかの穴」がとても素晴らしかっただけに、2作目・3作目は要らなかったような…。

「出禁上等!」 ゲッツ板谷

この本、「しゅっきん上等」なのかと思ったら、「できん上等」らしく。要は「出入り禁止で上等だ」ってことなんですね。「出版禁止上等」なのかと思ってたけど。で、ゲッツ氏の文章にしては、うまく乗り切れなかったような今ひとつ感が残る。連載で訪れたイ…

「夜のピクニック」 恩田 陸

ここ二〜三年では、綿矢りさの「蹴りたい背中」と並ぶ僕的ベスト。パーフェクトな小説だった。「歩行祭」という一見地味なイベントの中で、登場人物やイベントが完全に調和しつつゴールへと収束していく感じ。ほとんどの登場人物がいい人で、ちょっと昔読ん…

「Nothing」 中場利一

著者が「どうだ? いい話だろ? 面白いだろ?」と話を押しつけてくる感じがイヤ。しかも面白くないし。エンジンブレーキのエピソードだけはちょっと笑えたけど。

「グラスホッパー」 伊坂幸太郎

この人の本にしては凡作だと思う。好きになれる作品ではない。 だが、それはそれとして、「だっつーの」が口癖なポップな殺し屋「蝉」のキャラクター造形と、「鯨」の「自殺屋」という職業(?)を思いつく発想は凄いと思った。この二つについては、しばらく忘…