2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「TVJ」 五十嵐貴久

全く何も知らずにこの本を読めば、それなりに面白く感じるだろうとは思う。が、今時「ダイ・ハード」を見ていないことを前提にするのはあまりにも苦しい。この人は「ダイ・ハード」を見ていないのか? それとも、「ダイ・ハード」を見た人でもこの本を楽しめ…

「空中ブランコ」 奥田英朗

最近僕的には今ひとつな直木賞を受賞した作品ということで、ちょっと肩肘張って読んでみたが、十分楽しかった。神経科と精神科がごっちゃになってないか?という疑問は湧くものの、そんなことはどうでも良くなるような脳天気さを持つ主人公の精神科医・伊良…

「日暮らし」 宮部みゆき

何というか、あまりにも見事な職人芸に感心するばかりで、もはや書きたいことも見つからない。野球で言うと三年連続で20勝しているピッチャーのような、サッカーで言うとシーズン38試合を通じて15点しか失点しないディフェンス陣のような、圧倒的な安定感。…

「れんげ野原のまんなかで」 森谷明子

いいんじゃないでしょうか。本好きはしょっちゅうお世話になるにもかかわらず、小説の中ではなかなか日の当たることがない図書館が舞台だというのも斬新だし。ミステリとしても、「空飛ぶ馬」系の日常の謎ミステリとしてきちんと成り立っている。若い主人公…

「うたう警官」 佐々木譲

この人はもっと面白い本を書いたはずだけど…。昔読んだ「エトロフ発緊急電」とかはとても面白かったのに。内通者の存在、真犯人の警察幹部といった仕掛けもありきたりで、全く緊張感が高まることがなかった。警察小説の分野では横山秀夫という秀逸な作家が現…

「対岸の彼女」 角田光代

悪くないんだけど、これが直木賞?というがっかり感は拭えない。葵と小夜子を交互に見せつつ盛り上げていくところは良かった。けれど、読み終えても何も残らない。自分で逃げ込んだ専業主婦生活の愚痴を延々こぼされてもなぁ、という感じ。伊坂幸太郎がノミ…