2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「君たちに明日はない」 垣根涼介

リストラを実施する企業から請け負って、リストラ対象の社員に早期退職を受け入れさせる「首切り」を仕事とする男を描いた連作短編集。予想していた以上に面白かった。プロフェッショナルな姿勢を貫きつつも、胸にちょっと熱いものもちらつかせる主人公には…

「ヨコモレ通信」 辛酸なめ子

この人の本を読むのは初めてで、よくある類のイベント潜入体験レポートだろうと予想していたため、軽く読み飛ばして速攻で図書館に返すつもりだった。ところが読み始めてみると、嬉しいことに予想に反してとてもいい本だった。内容は予想通りのイベント潜入…

「震度0」 横山秀夫

それなりには読ませるけれど、横山秀夫の作品としては評価は低い。僕が最もこの人を評価するところの「熱さ」「格好良さ」が無いのだ。登場人物達は終始保身に走って策を弄するだけであり、全然気持ちを沿わせることが出来ない。最後だけちょっといい子に戻…

「孤宿の人」 宮部みゆき

ずっしりとした質量のあるドラマ。欲望、意地、権力志向、暖かさなど、人間のいろいろな要素が丁寧に描かれている。物語は宮部みゆきらしく良くできていて、厚い上下巻を滞ることなく読み進めていくことが出来る。キーパーソンの「ほう」は、知恵が遅れてい…