2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「女王様と私」 歌野晶午

各方面で評価の高かった「葉桜の季節に君を想うということ」は仕掛けばかりが目立って好きになれなかったが、この本はとても気に入った。「葉桜…」と相似形の仕掛けもあるが、この本では軽く花を添える程度。それよりも44歳引きこもりロリコンオタクの所作や…

「ネット限定恋愛革命 スパムメール大賞」 サエキけんぞう

迷惑でしかないスパムメールに、ツッコミを入れてエンターテイメントにしてしまおう、というアイディアが素晴らしい。と学会のトンデモ本シリーズの影響を受けているとは思うが、と学会の本が忘れてしまった楽しさがこの本にはある。おかげで、一日100通弱送…

「しゃばけ」 畠中恵

妖(あやかし)と呼ばれる妖怪たちに守られながら暮らしている、病弱だが心優しい若だんなが主人公の時代劇。とにかく妖と若だんなの関係が微笑ましく、これは著者の発想の勝利だと思う。なぜ手代二人の若だんなへの思い入れがあれほど強いのか、といったとこ…

「エンド・ゲーム」 恩田陸

常野シリーズの一つ前の「蒲公英草紙」とはかなり作風の異なる作品。正体のよく分からない敵との「裏返す」か「裏返される」かの緊迫した関係をベースに、ホラータッチで話が進む。ホラーが苦手な僕も、前半はその緊迫感を楽しむことができた。が、「包まれ…

「平成マシンガンズ」 三並夏

今度は十五歳ですか。早熟、というよりは才能なのだろう。自分が十五歳だったときのことを考えると、これほどの言葉の操り方は神業に近い。好きな文体ではないが、それでも十分なセンスは感じられる。いじめは「精神のバランスを保つために必要不可欠な行為…

「萌え経済学」 森永卓郎

二つの点で期待はずれ。第一におたくに関する考察が「年収300万」本の考察ほど面白くない。体験ルポ的な紹介に止まっていると思う。第二に議論の展開が期待はずれ。おたくルポの後の「今後の日本経済が激しい競争を避けるためには高付加価値商品を生み出すべ…