「上陸」 五條瑛

日雇い労働者三人組が、謎を解いたり犯罪に手を染めたり、と活躍(?)する連作短編集。話自体の質はそう高くないとは思うが、とにかく日雇い労働者の視点から見た世の中の語り口が斬新で面白く、いいペースで最後まで読めた。

時間軸的には一番最初に来るはずの密入国扶助のエピソードを一番最後に持ってきているので、それ以前の作品でそのエピソードを参照している箇所が伏線のような役割を得ることができ、かつ一冊の本をポジティブな余韻のまま読み終えることができる。面白い構成だと思った。