「映画篇」 金城一紀

地区センターでの「ローマの休日」上映会が全編に絡む、連作短編集。1作目を読んでいる時には今ひとつかな?と思ったものの、夫に自殺された女性とレンタルビデオ店員の話、保釈金強奪を狙う高校生の話、モンスターバイクを乗りこなすおばちゃんと子供の話など、尻上がりに良くなってきた。そして最後の、上映会主催者一家のエピソードを描いた「愛の泉」。恋愛の普遍性やら、「司さん<女神>」やら、「ケン坊のアホアホパワー」やら、話を構成するいろんなパーツにたまらない魅力があって、とにかく最高だった。「Go!」を読んだ時の快感を思い出した。

この人の本は「ゾンビーズ」シリーズに飽きが来ていただけに、こういう快作をまた読ませてくれてとても嬉しい。