「終末のフール」 伊坂幸太郎

あと3年で小惑星が地球に衝突し、滅亡することになっている世界。そんな状況下で暮らす人々(例によって仙台が舞台)の生活を描いた連作短編集。とりたてて切れ味のある話はないが、「小粒だけどいい話」が半分を占める、読む価値のある本だった。。優柔不断な夫とその奥さんの話「終末のフール」、独りぼっちになって父親の書斎の本を読破し、次に恋人を探し始める女の子の話「冬眠のガール」、疲れ果てた主人公と一風変わった天体オタクの話「天体のヨール」、「嘘から出た誠」を地でいく「演劇のオール」あたりが気に入った。